IoTスタートアップの会議で飛び交う、ものづくりギョーカイ用語12選(入門編)

この記事はAkerun Advent Calendar 15日目の記事です。

こんにちは、フォトシンスの @yuyakm です。 弊社はスマートロックロボットAkerunをつくっておりIoTスタートアップと言われていますが、今回はハードウェアスタートアップととしての側面をご紹介します。

社内・社外で「ハードウェアのことはよくわからない!」と言われることが多いので、これはよく使うなと思う単語をご紹介します。 今回は入門編として、会議でよく出る単語をご紹介します。 (フォトシンスも続々とメンバーが増えているので社内向けの共有にもなれば)

①MOQ

読み方:エムオーキュー

Minimum Order Quantityの略で、これ以上じゃないと注文できないよという数量です。

例えば、電子部品がリール(部品を袋詰したテープを巻いたもの)単位でないと買えないということはよくあります。 小ロット製造する製品はMOQが障壁になってその部品を採用できないこともありますし、製造ロットを決める際にも各部品のMOQが判断材料になります。

リールのイメージ写真として、チップコンデンサの写真をご紹介します。 f:id:photosynth-inc:20161216143347j:plain これは1リール4,000個入っています。

②LT, L/T

読み方:エルティー、リードタイム

Lead Timeの略です。 手配を始めてから完成するまでの期間という意味です。 納期と同じぐらい使う言葉なのですが、納期と使い分ける場合もあります。

在庫があって即納だと思って使っていた部品が、追加発注しようと思ったら実はLTが長くて16週間待たされる、ということがあったりするので注意です。 ある製品(部品)をつくるために他のメーカーから材料を仕入れる場合はそのLTも加味されたものが回答されますし、その中に長納期の部材がある場合はその影響を受けますので想像よりも長い回答が来る場合があります。

③PO

読み方:ピーオー

Purchase orderの略です。つまり発注書です。普通に発注書と言う方が多いかも。。

発注していないものは納品されないですし、発注すれば購入する義務が発生します。 関連して3つの略語を紹介します。

  • QTY = Quantity = 数量
  • pcs = pieces = 個
  • PI = Proforma Invoice = 見積書

④製造フォーキャスト

製造計画のことです。単にフォーキャストとも言います。 ある部品や製品を製造する場合、計画的に材料の調達や人員の確保を行う必要がありますので、商社や製造委託先からはフォーキャスト(=今後の発注見込み数量)に応じで準備を行います。

重要な情報ですので可能な限り正確な情報を随時アップデートする必要があります。(しかし正確に未来を予測することが難しい・・)

⑤BOM

読み方:ボム

Bill of materialsの略で、意味は部品表です。

必要な部品の型番や仕様、員数等が製品単位、基板単位で記載されています。 この表を元に部品調達や製造原価の計算を行います。

⑥射出成形

ざっくり説明すると、熱してドロドロになった樹脂を金型に押し込んで、冷却することで部品をつくる方法です。大量生産に向いているので多くの製品にこの方法で製造された部品があります。

成形機にセットされた金型 f:id:photosynth-inc:20161216135508j:plain

あれからこれが出てきます f:id:photosynth-inc:20161216135511j:plain

奥が深い世界なので今回はさらっと終わります。

⑦ヒケ

射出成形でつくられた樹脂部品が冷却時に収縮することでつくられた凹みのことです。

写真では分かり難いですが、中央が凹んでいます。 f:id:photosynth-inc:20161216141026j:plain ※弊社製品ではありません

厚みのある部分があると大きく凹みますので、機構設計者はできるだけ均一な肉厚になるように設計します。 身近な製品でヒケを見つけることもできますので指摘してドヤってみましょう。 他にも、バリ、ソリ、ショート、ウエルド、フクレ、シボの転写ムラ、etc...の樹脂部品の問題に関する用語があります。

⑧基板 / PCB, PCBA

PCBは、Printed Circuit Boardの略です。 回路が印刷された板です。基板です。プリント基板ということもあります。 PCBAは、Printed Circuit Board Assemblyの略です。 プリント基板にSMD(基板に乗っける)部品やDIP(穴に挿入する)部品を取り付け(はんだ付け)された状態のものをいいます。

イメージ画像:Raspberry Pi 3 Model B f:id:photosynth-inc:20161216143350j:plain

PCBや基板は部品が実装されたものを意図していることが多く、電子部品を含まない板だけを表現したい場合は、生板や生基板と言います。

⑨表面実装 / SMT

Surface mount technologyの略です。

基板の表面に電子部品を乗っけてはんだ付けする工程です。 殆どの基板はこの工程で電子部品を基板に実装(指定の場所にはんだ付け)しています。 弊社では試作や製造スケジュールの項目としてよく見かけます

⑩貼り箱

少しパッケージの話をします。 貼り箱は、ベースになる固いボール紙の箱をきれいな紙で包むことでつくります。 切って折って作る箱(例えばキャラメル箱)に比べて、材料が増えますし、紙で包む行程でコストが発生するため高級品向けと言えます。

Akerun Proの箱 f:id:photosynth-inc:20161216135452j:plain

よく見ると、継ぎ目が見えて紙で覆われていることがわかります。 f:id:photosynth-inc:20161216135503j:plain

みんな大好きAppleGoogle製品をはじめ、高級感のあるスマホやPCの箱は貼り箱であることが多いです。箱のしっかり感(剛性感)を演出したり、包む紙の質感を拘ったり、印刷の自由度が高いので、高級感のあるデザインを実現しやすいと思います。

Akerun Proの"Pro"の文字はシルバーの箔押しをしてプロ感を演出しています。 f:id:photosynth-inc:20161216135456j:plain

もちろん高ければ良いというわけでもなく、Amazon Dash Buttonのように低価格であることを大切にして、コストの制約の中でデザインを工夫しているものもあります。

⑪スリーブ

シュッと引き抜くアレです。パッケージの演出としてよく見かけます。

これが f:id:photosynth-inc:20161216143700j:plain

こうなります f:id:photosynth-inc:20161216135501j:plain

弊社製品ではよく使っています。

治具

読み方:ジグ 「作業を補助するもの」ぐらいの広い意味で使われ、多様な治具があります。 Akerunの製造では、

  • 塗装部品を固定し塗りたくないところに塗料が塗られないようにするための治具
  • 基板のテストパッドにピンをあてて検査をする治具
  • 内部部品を両面テープを正確に貼るための治具
  • ボタンの向きとサムターンの向きを揃えて組み立てるための治具
  • ギアボックスの試験をするためにギアボックス単体を固定しパーマトルクに接続するための治具

etc ... 色々なものがあります

例:曲面で構成されるAkerun Proを固定して組み立てるための治具 f:id:photosynth-inc:20161216144918j:plain

例:基板の検査をする治具(検査機) f:id:photosynth-inc:20161216150303j:plain

おまけ①:Great Firewall, 金盾

中国のインターネット検閲システムです。 中国のWi-Fiに接続してもGoogle(のあらゆるサービス), Facebook, LINE, Twitter等が使えません。Slackは使えました。 Gmailが使えないだけでも仕事になりません。

対策

データ通信のみ

通話もするなら

おまけ②:Teardown

業界用語というよりはただの英単語ですが、

「商品名 + Teardown」

で検索するといろんな分解記事が見れて楽しいですよ! Disassemblyで検索しても出て来ます。 iFixitに辿り着くことが多いです。 www.ifixit.com

最後に

以上、入門編と題して幅広く用語的なものをご紹介しました。会社毎に言い方や使い方が違うこともがあります、ご参考になれば幸いです。

AkerunとAPIで連携して色々できます!Akerun Developersを覗いてみてください! photosynth-inc.github.io