フォトシンス エンジニアブログ

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電子工作サークル活動レポート 〜動く自動ドア模型を作ってみよう〜

はじめに

この記事は Akerun - Qiita Advent Calendar 2025 - Qiita の 10 日目の記事です。

こんにちは。エンジニアの naritaku です。

3 月に 電子工作サークルレポート をブログに掲載しましたが、その後も継続してサークル活動を行っています。今回は今年の活動の中から代表して「動く自動ドア模型を作ろう」の活動についてレポートします。

目次

活動実施の経緯

社内には動作を伝えるためのデモ用ミニチュア扉が複数存在しています。お客様への説明や社内での知識習得の際によく利用されてきましたが、AkerunCtl と連携できるミニチュア自動ドアは存在していませんでした。

電気錠のデモ扉たち

AkerunCtl は自動ドアとの連携事例が多いものの、「サムターンを回す AkerunPro と違い、AkerunCtl はどこでどう活躍するのか分かりづらい」という声が社内から上がっていました。このため、AkerunCtl と連携するデモ用自動ドア模型を組み立てる会を企画しました。

個人的には、楽しみながら手を動かす中で知識や経験が自然に身につくようなフィードバックを大事にしたいと考えており、今回の模型づくりを通じて参加者のみなさんに何かしらの気づきが得られればと思い実施しました。

作るもの・実験内容

今回はアルミフレームをベースに、自動ドアをシンプルに再現した模型を作成しました。
「ボタンを押す(配線がショートする)とドアが開き、数秒後に自動的に閉まる」という最小限の動作を実装しています。 *1

材料の選定

Fusion 360 で簡易モデルを作成し、構造を確認しながらパーツの選定や接続方式、組み立て手順の検討を行いました。また、活動参加者募集のためのイメージ動画としても共有しました。

自動ドア模型の完成イメージ
動画になるとイメージがさらにつきやすいですね

材料

自動ドア模型はAliexpressなどで買い集められる市販パーツをベースに構築しました。 3Dプリンタでパーツを作ることも検討しましたが、薄く大きなパーツは反りが気になる点や、透明なアクリル板を使ったほうが見栄えも良くなると考えたため、後述のアクリル板のレーザー加工品と既製パーツの組み合わせとしました。

部品名 用途・説明
アルミフレーム + ジョイント 模型の骨組み。組み立てやすく拡張性も高い。
NEMA17(ステッピングモーター 自動ドアの開閉に使用。3Dプリンタなどでよく使われる標準的なステッピングモーターです。ステップごとに正確に回転できるため、位置制御に適しています。入手性が良く扱いやすい点も選定理由の一つです。
NEMA17 取り付け用アルミプレート モーター固定用。
GT2 20 歯 タイミングベルト用プーリー モーターの回転を滑りがない状態でタイミングベルトへ伝達させます。これにより、モーターの回転角度とドアの動く距離が大きくぶれなくなります。
タイミングベルト (2GT 500mm) 駆動力を扉へ伝える。
ベアリングピン プーリーと軸受の接続に使用。
軸受 アルミフレームへの固定用。
3D プリンタ用ボールねじ軸受 ベルトテンション用プーリーの固定。
ねじ付きベアリングプーリー(DR-19) 扉を支え、低摩擦で動作させる。
アクリル板(2mm厚 A4) 扉部分として使用。レーザー加工で切り出し。
アクリル板(3mm厚 A4) ベルト保持パーツ、ガイド、梁として使用。レーザー加工で切り出し。
Arduino 用 CNC モジュール Arduino とモータードライバの接続用シールド。
Arduino Nano 制御用マイコン。小型で十分な性能でした。
A4988 ステッピングモータードライバ ステッピングモーターの制御用ドライバ。入力すべき信号がシンプルかつ、NEMA17で利用するようなマイコンと比較した際に大きな電流を扱える点から採用しました。
NEMA17 と CNC モジュール間の変換ケーブル 接続用。ステッピングドライバ側のコネクタとモジュール側のピン配置(およびA相、B相の用途)が合わないもの売られているため注意してください。
12V 電源 モーター駆動+arduinoへの電源供給用。
ネジ類、六角ナット、T スロットナット アルミフレームや扉パーツの固定用。
USB Type-C L 字コネクタ Arduino とPCの接続を容易にするため。

構成

本物の自動ドアの構成を参考に構成を考えました

今回作成する自動ドア模型では、タイミングベルトをドア上部でたるみなく張れるようにタイミングベルト用プーリー と軸受、ステッピングモーターなどを配置します。

通常の自動ドアでは安全のためにゴムベルトとプーリーなど空回りする仕組みが組み込まれていることが多いですが、ステッピングモータータイミングベルトは直繋ぎさせています。

直繋ぎでは挟み込みに対する安全対策ができていませんが、今回は扉パーツとタイミングベルトは甘く固定することで、負荷が高い状態ではタイミングベルトとドアパーツが連動しなくなることを期待しています。

自動ドア模型の駆動部

扉パーツにはタイミングベルトと噛み合うためのパーツ(実際の自動扉ではドアハンガーと呼ばれるようなパーツ相当)をベルトの上下に1つずつくっつけることで、モーターを回転させると、扉が近づいたり、離れたりする動作を実現しています。

また、扉にベアリングのタイヤパーツを取り付けることで、扉パーツは梁に宙吊りとなるため。軽い力で左右に動くことができるようになります。*2

自動ドア模型を底面から撮影。梁となるアルミフレームの真下に、扉パーツのタイヤが動くレール部分が準備されています。

駆動部の回路はとしては電源供給をしつつ、シンプルにモーターを回したかったため、似たパーツ構成でステッピングモーターを回転させていた

のサイトを参考にさせていただきました。

レーザー加工

レーザーカッターで、アクリル板をタイミングベルトと噛み合うパーツなどに切り出しました。平面的なパーツであれば 3D プリンタよりも加工が速く、今回の用途に非常に適していました。

アクリル板を切り出したパーツたち

活動日の作業

組み立て

活動当日はエンジニア以外のメンバーでも参加しやすいよう、扉や梁などのパーツごとに分担して組み立てを行いました。 *3

自動ドアらしく安全表示シールやアルミシールで装飾

プログラムの作成

Arduino Nano から CNC モジュールにつなげた A4988 モジュール経由でモーターを動かすプログラムを作成しました。扉を取り付ける前に動作確認を行うことで、安全にモーター挙動を確認できます。 *4

gist.github.com

モーター・扉の動作確認

CTL を接続し、弊社製品との連携動作をテストしました。

自動ドアデモ機での解錠動作

CNC モジュールは複数のリミットスイッチを接続できる構造になっているため、今後は人感センサーや近接検知などを追加し、より実運用に近い安全機構を再現した模型へ発展させられそうです。

まとめ

今回の(企画・準備を含む)自動ドア模型づくりでは、構造設計・材料選定・加工・制御プログラム作成までを一連の流れとして扱うことで、実際の自動ドアがどのような仕組みで動作しているのかを体系的に確認する機会となりました。

  • 安く簡単に組み付けられるパーツ構成を考えるにあたり、3D プリンタ向け DIY キット用モジュールの豊富さに驚き、非常に助けられました。
    • アルミフレームと相性の良いパーツが多く。タイミングベルトを用いたスライド機構の扱いやすさ、A4988 を介したステッピングモーター制御のシンプルさなど、小型模型との相性の良さを実感しました。
  • 事前に 3D モデルを作成することで、検証やレーザー加工への移行がスムーズになり、ワークフロー全体の相性の良さを確認できる良い経験となりました。
    • 小規模とはいえ物理的に動作するモデルを作ることで、図面や仕様だけでは把握しづらいインタラクションや制御上の前提条件を具体的に理解しやすくなります。

自動ドアデモ機が完成したことで、AkerunCtl が自動ドアと連携する際の挙動を手元で素早く再現・検証できる環境が整いました。
*5

AkerunCtl との連携動作も含め、より実環境に近いモデルへ継続的に改良しながら、社内の知識共有や検証用途に活かしていきたいと考えています。


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*1:実際の自動ドアには多くの安全配慮が施されています。模型であっても挟み込みなどにご注意ください。

*2:ベアリングはナットで締め付けていますが、ドアの開閉によって徐々に緩んでしまいます。 現状の構成では実際の自動ドア同様に故障する前の保守、点検が必要な模型になっています。

*3:Web エンジニアの方も参加されており、初めてアルミフレームを扱うメンバーも多くいましたが、互いにサポートし合いながらスムーズに作業を進めることができました。

*4:モジュール側で分周設定が変更されている可能性もあるため、流用時は注意が必要です。

*5:実際の Ctl の FW 開発や QA では本物の自動ドア・電気錠でも検証を行っています。