良きプロダクトをつくるために、「プロダクトマネジメントツール」を選んでみた
この記事は Akerun Advent Calendar 2019 - Qiita の19日目の記事です。
こんにちは、PhotosynthのPM(プロダクトマネージャー/PdM)のaraayaです。
夏にPM1人目として入社しました。元々私はビジネスやデザインの志向性が強いのですが、最近はエンジニア/QAと話す機会が多く、視野の広がりを感じる今日この頃です。
さて最近、PM界隈で「”プロダクトマネジメントツール”を使ってプロダクト企画・管理をしている」という話をちらほら耳にするようになりました。 CRM/SFA/MAの領域でSalesforceが、Tech領域でGithubが普及したように、 PMの業務や役割にあわせた専用ツールが導入されはじめたようです。
プロダクトマネジメントツール(以下PMツール)ってどれがいいのかなー、とネットをざっと探したのですが、日本語の記事があまり多くなかったので、この機会に実際に触ってみました。
*ツールの使い方をまとめた記事ではありません。
ツールの検討を通してPMの業務の話をまとめているので、プロダクトづくりに興味がある方に読んでいただけたら嬉しいです。
目次
PMの業務で解決したいこと
PMツールを検討するにあたり、はじめにPMの業務で解決したいことを整理します。
1:顧客要望の集約
多くの新機能やプロダクトのタネは、顧客のアイデアやフィードバックから生まれます。
ただ、目先の顧客の声に捕われ、真意を汲み取れないと、結局目的と異なる・使われない機能を作ってしまうそして炎上することも・・・。
顧客の要望を収集する作業はとても大事です。
* 「顧客の規模・業界・環境・用途・担当者は?」「どんな課題を真に解決したいか?」
* 要望度の優先度づけ
といった情報を上手に管理したいなーと思っています。
また、社内のSlackや顧客管理ツール、SNSに挙がった情報がフローで流れてしまうので 自動的に一元集約する場所があると助かります。
顧客要望の集約をPMツールが助けてくれるなら、ツール要件は下記が理想です。
- 要望顧客・背景の詳細管理
- 優先度管理
- 外部チャット/顧客管理ツール連携
2:ロードマップの管理
1の顧客要望や優先度付けに基づいて、将来的なプロダクト/機能リリース計画を「ロードマップ」にまとめるのも、PMの重要な業務のひとつです。
現状spreadsheetを使ってロードマップを作成していますが、表形式では情報量が少なく、表現の幅が狭いことが課題です。
例えばエンジニアは「機能スコープと優先度」を、ビジネスサイドは「事業的なKPIとプロダクトの関係性」を知りたいと考えています。関係者によって必要な情報が異なるので、情報をそれぞれにわかりやすく整理できると嬉しいなーと思います。
ロードマップの管理をPMツールが助けてくれるなら、ツール要件は下記が理想です。
- プロダクトと機能スコープの紐付け
- プロダクトとKPIの紐付け
- 目的ごとのビューの切替え
3:タスク管理
2のロードマップから、プロダクトや機能のスコープを定義したら、次に開発単位ごとにタスク(チケット)を切る作業が発生します。
(CS)→PM→デザイナー→エンジニア→QAとチケットが渡りますが、このタスク進捗を別のツールやMTGで追いかけるのは、多大な工数が発生します。
(エンジニア氏:せっかくチケットを更新したのに、MTG出るの・・・!)
タスク管理の自動化をPMツールが助けてくれるなら、ツール要件は下記が理想です。
- PMツール上でのスケジュール/カンバン管理
- 外部タスク管理ツール連携
プロダクトマネジメントツールを選んでみた
さて、本題に移ります。 顧客要望の集約・ロードマップ管理・タスク管理、3つが揃っているツールを探すと 海外の「Productboard」「Craft」が良さそうなことがわかりました。
その他、ProdPadやAha!なども機能が豊富なようですが、UIの観点で今回は対象外としました。 国内でもギルトワークスが、何をつくるべきかを構想するサービス「GuildHub」を19年7月にβ版立ち上げたようで、今後の進化に注目です。
Productboard
狭義のプロダクトマネジメントツールのシェア、おそらくNo1のサービスです。 Microsoft, Zendeskなどで採用されているようです。
大きく4つの機能を持っています。
① Insight(顧客インサイト)
顧客要望やインサイトを管理するページです。 「どの顧客からの要望か」「顧客ニーズの強さ」を細かく管理できます。
WEBのアンケートフォームを共有することもできますし、 Slackと連携すれば、Slackの特定チャンネルから直接要望を拾ってくることもできます。
② Features(機能要件/タスク管理)
プロダクトの機能を管理するためのページです。 機能に対して、「定量的な目標」と「定性的な目標」を設定することができます。 また、「セグメント」(例 SMB/Enterprise)や「優先度」を設定することも可能です。
③ Roadmap(ロードマップ)
ロードマップを可視化・管理する機能です。 左のタブでロードマップの表示方法を切り替えることができ、リスト・カンバン・スケジュール表示など目的に応じて見せ方を変えることができます。
④ Portal(プロダクトの要件管理)
最後は、プロダクトづくりに欠かせない、簡易的なドキュメントツールの機能です。 仕様を書いたり、他の誰かがコメントを記載したり、画像を貼ってUI画面ごとの要件を記載するなどが可能です。
Craft
イスラエルのテルアビブ発のスタートアップで、ShopifyやUberもこのサービスを利用しています。 スケジュール管理からドキュメント管理まで、自由度が高いことが特徴です。
① Strategy(プロダクト戦略)
アプリやサービスのコアとなる戦略や背景を管理するページです。 自由なドキュメントを作成することができ、「ペルソナの設定」「ゴール目標の設定」「競合との差別化や優位性」「ターゲットユーザー」などを定義することができます。
② Planning(タスク / ロードマップ管理)
プロダクトの機能を管理するためのページです。タスクをスケジュール/カンバン/リストから、好みのビューで表示できます。 また、開発・QA・ビジネス・PM・UI/UXなどそれぞれのグループ単位で人をアサインできます。
③ Discovery(顧客要望)
顧客の要望を管理するページです。 要望ごとに「ポジティブ」「ネガティブ」「UI改善」「新機能」「不具合」などでタグ付けができます。 こちらもSlackや顧客管理サービスと連携が可能です。
Productboard vs Craft の比較
PMの業務で解決したい要件に対して、星取表を作成してみました。
Productboardは使い勝手が良い反面、価格が高いのは難点です。
いずれも、サービス連携ツールZapier経由で、例えばHubspotに繋ぐことも可能です。
JIRAやTrelloなどタスク管理ツールの更新と完全同期できるのも素晴らしいですね!
*今回紹介できなかった観点でも、まだまだ多くの機能があります。
所感
ProductboardとCraftともに、機能的には、既存のツールを駆使し代替できる機能も多くあります。
一方、「プロダクトマネジメント」に特化したテンプレートが豊富なので、 つい企画フェーズで落としがちな観点を漏れなく整理し、関係者に共有するには便利です。
また、これ1つでプロダクトづくりに必要なことはすべて揃うので、 スモールチームで0→1のサービスをつくるには、使い勝手が良さそうです。
今後もツールの検討を通して、理想的な業務の話をする機会につながると嬉しいです。 (ツールはあくまで手段なので、結果的に導入しないとしても。)
さいごに
ストレスフリーなお仕事には、イケてるツールが欠かせないよね!
というわけで、Photosynthではエンジニア/QAだけではなく 一緒に仕事をしてくれるPM/UIUXデザイナーを探しています。
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