この記事は Akerun Advent Calendar 2020 - Qiita の25日目の記事です。
2020年6月にフォトシンス に入社して、WEBグループのマネージャをしていますNonです。
2000年に大手ベンダーのSEとして社会人をスタートし、今年で21年目となりますが、ベンチャーから大手企業まで、複数の会社を通じて、大小様々なプロジェクトを経験しております。
ここ10数年は、主にエンジニアチームのマネジメントに従事してきて、マネジメントの難しさを地肌で感じると共に、色々な案件を通じてマネジメントスキルを磨くことができました。
今回は、マネジメントに携わる上で、私が重要視していることを少しお話できればと思います。
マネジメントとは?
マネジメントとは?聞かれた場合、皆さんはなんと答えるでしょうか?
アメリカの経営学者P.F.ドラッカーによると下記のように述べています。
- マネジメント:組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関
- マネージャー:組織の成果に責任を持つ者
【出典】P.F.ドラッカー(1999)「明日を支配するもの 21世紀のマネジメント革命」ダイヤモンド社
組織の成果に注目し、マネージャーは、組織の成果に責任を持たなければいけません。
つまり、メンバーの動機付け、評価、育成などを通じて組織を作っていく役割を求められます。
マネジメントの課題
マネジメントは難しいとよく言われますが、具体的にどういった課題があるのでしょうか?
- 部下の育成が出来ない、仕事を任せられない
- 組織目標やビジョンが打ち出せず組織をまとめられない
- 組織間の調整がうまくできない
- 上司と部下の間に挟まれる立場になり判断に困る
このようなことを良く耳にします。
一見どれも重要な課題に感じますが、引き起こされる結果に注目する必要があります。
これらが原因となって、組織の目標を達成できないということが最も重要なポイントです。
マネージャーは、組織の成果に責任を持つ者なので、組織の目標を達成すべく、様々な手段を講じる必要があります。
マネジメントに求められるスキル
マネージャーは自分の業務だけではなく、メンバーの業務と組織を管理する能力が問われます。
プレイヤーからマネージャーに昇進すると、今までとは違う壁にぶつかります。
部下を育てられずにいると、いつまで経っても自分自身の業務が減りません。
結果、プレイヤーとしての負荷が高くなってしまい、マネジメントの比率が低くなってしまいます。
この問題を解決するためには、マネジメントスキルを高める必要があります。
では、マネージャーには、どんなスキルが求められるのでしょうか?
私のこれまでの経験から14のスキルに整理してみました。
マネジメントに求められる14のスキル
1 | 見積管理 | 要件からタスクを洗い出し、メンバーのスキル状況も考慮して、適切な見積もりができるか。 |
2 | 業務管理 | 「何を(What)」、「いつまでに(When)」、「どうやって(How)」やるかという具体的な指示をメンバー与え、その過程や結果を管理・監督できるか。 |
3 | 指導・教育 | 目標設定を適切に行い、教育プランを考えて部下をゴールまで導いて行けるか。 |
4 | 業務改善 | 日々の業務をこなすだけではなく、課題を解決したり、仕組み化したりして業務効率をあげることができるか。 |
5 | リスク対策 | リスクの洗い出しや対策準備、リスク発生後の適切な処置が迅速に行えるか |
6 | 課題の発見と解決 | 業務における課題や問題点を見つけだし、その解決策を提案できるか。 |
7 | トラブル収束 | 問題が起きた際にその内容に応じて迅速かつ柔軟に対応できるか。 |
8 | 組織ビルディング | 組織に必要な役割を明確にし、規模に応じた組織の体制作りができるか。 |
9 | 労務管理 | 残業、休日出勤などの管理を徹底し、健康面を第一に考えた判断ができるか。 |
10 | 経営理念の周知・徹底 | 経営者の目指す方向を正確にメンバーに伝え、同じ方向に導けるか。 |
11 | 予算管理 | 収支・収益を意識し、より少ない投資で最大限の利益をあげられるか。 |
12 | 業務成果の適切な評価 | メンバーの成果に対して、主観的ではなく客観的に評価ができるか。 |
13 | 適材適所への配置 | メンバーのスキルや強み・弱みを把握し、育成の観点も含めてリソース配置を行えるか。 |
14 | 戦略立案 | 中長期の戦略や方針を正しく策定できるか。 |
マネージャになると、大手の企業ではマネジメント研修などもありますが、ベンチャー企業など、教育制度の整ってない企業では、いきなりマネージャーをさせられことも少なくありません。
マネージャーは、プロジェクトの進捗管理をしたり、リソースの管理をしたりすることに、フォーカスされがちですが、もっとたくさんのことを求められます。
組織の成果を出すためには、上記のようなスキルを身につけて、業務を遂行していかなければなりませんので、マネージャーになったら自身の役割と必要なスキルを確認しましょう。
プロジェクトマネジメントで重要なこと
ここまでは、マネジメントという少し広い範囲でのお話をしましたが、もう少しスコープを絞って、プロジェクトマネジメントについても見ていきましょう。
私は、プロジェクトマネジメント目的は、チームパフォーマンスの最大化と考えています。 限られたリソースの中でどれだけパフォーマンスを最大化できるかが、プロマネに求められることだと思います。
プロジェクトマネジメントで重要な三要素
- タスクを適切に振り分けること
- トラブルを未然に防ぐこと
- 仕組み化を徹底し、無駄な時間を減らすこと
簡単にいうとムリ・ムダ・ムラの徹底排除です。
タスクを適切に振り分けること
タスクを漏れなく洗い出し、期日やメンバーの育成などを踏まえて、適切にタスクを振り分けていかなければなりません。経験値の高い人にばかり頼っていては、中長期的に見たときに、チームとしてのパフォーマンスは最大化されません。
トラブルを未然に防ぐこと
トラブルは、どんなにケアしていても起こってしまいますが、トラブルが少なければ少ないほど、計画はスムーズに進みます。ありとあらゆるリスクを想定して、未然に防ぐ努力をしましょう。
仕組み化を徹底し、無駄な時間を減らすこと
同じような作業を、他の人が繰り返していることは、色々な現場でよく見かけます。テンプレート化したり、プログラムで自動化したりすることで、大幅に作業時間を減らすことができます。少しでも、無駄を削減できるように、常に仕組み化できないか考えることが重要です。
また、プロジェクトマネジメントをする上での心構えとして下記の点に注意しています。
- 自分ができるから、他人もできるはずという考えを捨てること
- 自分でやったほうが早いと思っても、自身の手を出さないこと
- チームが持っている力以上のことを求めないこと
- チームの課題は、チーム全体で取り組むこと
マネージャがやるべきことは、方向性を示すこととジャッジメントであり、自分自身で作業をすべきではありません。
一方的に指示を出すのではなく、メンバーの思考停止が起きないように、チームメンバーで決めたことをやらせましょう。
ただし、メンバーの進めようとしてる手段に対して、リスクがある場合には、リスク観点について質問をすることで、リスクの存在と対策をメンバー自身で考えられるようにリードすることも忘れてはいけません。
現在のチーム力を把握し、それをベースにプロジェクトの計画を立て、中長期的にチームの戦力を強化していくことが重要です。
目先の案件に捉われていると、いつまでたっても開発スピードが上がらなかったり、やりたいことができないなど、負のループに陥ってしまいます。
プロジェクトマネジメントにおける仕組み化
プロジェクトマネジメントの手法は色々ありますが、一番重要なのは、タスクの可視化と課題の可視化だと思います。
やらなければならないことが全て洗い出せていること、適切な優先順位で作業を行なっていることをマネージャーはチェックしなければなりません。 また、課題を特定しない段階で、手段を考えても課題は解決しませんが、本質的な課題が見つかれば、改善策を考えるのはそんなに難しくありません。
2つの可視化をする上で、私が必ず行なっている仕組みがあります。
デイリーミーティング
- 昨日やったこと、今日やることをチケット管理ツールをみながらメンバーに共有する
- 全てのタスクはチケット化する
- タスクは、担当者、工数、期限を設定する
- タスクは、1日単位など細かいものに分解する
- タスクは、完了定義を明確にする
- 正しい優先順位でタスクに着手しているか確認する
- 今抱えている課題を共有する
週次KPTミーティング
- 毎週KPTを実施する
- プロジェクトメンバーの参加を必須とする
- 課題(Problem)についてメンバー全員で議論する
- 本質的な課題にたどり着くまでブレークダウンする
- Tryはメンバー全員が合意して決定する
- Tryは1週間でできることを定義する
- 残った課題は、積み上げないで捨てる
※KPTについてわかりやすい記事がありましたので共有します。
この二つのミーティングをやり続けるだけで、プロジェクトは割とうまく回ります。
ただ、意外とこれだけのことをずっと続けるのが難しいのです。
タスクの期限を入れなかったり、完了定義が曖昧だったりというのはよくあります。
期限が不明確でいつまで経っても終わらなかったり、完了の定義が曖昧で、終わったと思っても、実際には終わってなかったりするので、タスクの進捗確認はさらっと終わりがちです。
管理者はタスクが確実に終わるまで、状況を正確に把握し、きっちり管理することが求められます。
KPTでも毎週全員が参加しなかったり、課題をうまくブレークダウンできずに、本質的な課題に辿り着けず、適切な解決手段を打ち出せなかったりということもよくあります。
ファシリテーションをしながら、課題洗い出し方、解決までの思考などの教育も合わせて行っていくのがポイントです。
個の力をチームの力に変えるべく、こういった仕組みを活用しながら、仕組みがうまく回っていることを日々チェックしてマネジメントしてます。
まとめ
マネージャーは、偉い人のポジションという位置付けでは決してありません。
一方で、業務知識に加えて、コミュニケーション能力も求められる難易度の高い仕事ではあります。
性格の合わない人、経歴もバックグラウンドも違う人、カルチャーの違う人など様々な人とお付き合いしていかなければなりません。
マネージャーという役割をしっかり理解し、マネージャに求められるスキルを身につけ、メンバーのパフォーマンスを最大化させるために尽力するのが、プロフェッショナルなマネジメントだと思います。
これからのフォトシンスは、大幅に人を増員していきますが、それに耐えうる組織づくりもしっかりしていきます。 スケールしていく組織の中で、強いチームでの働き方を体感したい方は、是非エントリーしてください。
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